"8月7日付の毎日新聞が報じたスクープによれば、新国立計画の事業主である文科省所轄の独立行政法人・日本スポーツ振興センター(JSC)が、昨年5月、基本設計の概算工事費を過少に見積もって公表していたことが判明。設計会社側の提示額が約3000億円であったにもかかわらず、JSCは1625億円と約半額で概算。資材の調達法や単価を操作していたという。
また、2015年に入ると、今度は文科省が過少報告をしていた。今年2月、施工するゼネコンから概算工事費が3000億円を超えると報告されていたのに対し、文科省側は約2100億円の工費で足りるとの試算結果を報告していたことが、第三者検証委員会に提出された資料より明らかになったのだ。
文科省とJCSは新国立計画を成り立たせるために、青天井化する工費を世間から隠し通そうとしてきたのだ。
5月18日、その計画の見直しのため、下村博文文部科学大臣が舛添要一東京都知事と会談したところ、事態は収拾どころか、激しい罵り合いに発展してしまいました
「まず下村大臣は、舛添都知事との会談の際、"東京都が整備費(建設費)の一部を負担することになっている"と発言し、500億円という数字が念頭にあることをほのめかしたんです」
早い話が、「いろいろやり繰りしたけど足りないから、500億円ほど出してくれ」と持ちかけたのだ。が、それを聞いた舛添氏は猛反発。「現在の法制度では、都が負担する根拠がない」と一蹴した。
「思わぬ反撃に下村氏は、逆に"東京都へ強制的に費用を負担させるための法律案を作ろうか"と啖呵(たんか)を切ったんです」(同関係者)
これが舛添氏の怒りに油を注いだのは言うまでもない。政治学者として憲法95条を引き合いに出し、
「東京都の住民投票を行って過半数を得ることができなければ、法律制定できない。そういう規定を分かって発言しているのか」
という主旨の文を自身のブログに書き込んだ。
実は、石原慎太郎元都知事の時代に、東京五輪組織委員会の森喜朗会長と「500億円拠出」の"密約"が交わされていたのだという。
「この密約について舛添都知事は、ネットマガジンの連載記事で、"森氏と当時の石原知事との間で都が経費の三分の一に当たる500億円を支払うことを決めた"と明かしています。その密約は、石原元都知事の後任の猪瀬直樹前知事にも引き継がれていたというんです」
「新競技場の建設予定地である神宮外苑周辺は、風致地区(自然美を維持・保存すべき地区)に指定され、建物の高さが15メートルと規制されていました。ところがコンペの募集要項は、なぜか"70メートル超の建築物"となっていたんです。
結果、ザハ案が採用され、"こんなに素晴らしい作品をコンペで選んだんだから、規制のほうを変えるしかない"と言わんばかりに、高さ制限は解除されてしまいました」
神宮地区といえば、都内でも屈指の人気タウン。ここに70メートル級の高層ビルや高級マンションが建てば、一部の土地デベロッパーが巨額の金を手に入れることになるのは想像に難くない。
新国立競技場の建設費は高ければ高いほどよい。関係者一同、儲かりますから。"