アメリカが進めている世界戦略は1992年に国防総省で作成されたDPGの草案、いわゆる「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」に基づいている。ソ連が1991年に消滅したことを受け、アメリカが「唯一の超大国」になったと思い込んだネオコン/シオニストが作成したプランで、「パックス・アメリカーナ」、つまりアメリカによる絶対支配の体制を築こうとしている。 ソ連消滅後、ロシアの大統領は西側資本の傀儡、ボリス・エリツィン。ロシアを属国にできたと考え、戦略の重点を東アジアへ移動させた。そうした戦略の変更は国防総省のシンクタンク

"アメリカが進めている世界戦略は1992年に国防総省で作成されたDPGの草案、いわゆる「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」に基づいている。ソ連が1991年に消滅したことを受け、アメリカが「唯一の超大国」になったと思い込んだネオコン/シオニストが作成したプランで、「パックス・アメリカーナ」、つまりアメリカによる絶対支配の体制を築こうとしている。

ソ連消滅後、ロシアの大統領は西側資本の傀儡、ボリス・エリツィン。ロシアを属国にできたと考え、戦略の重点を東アジアへ移動させた。そうした戦略の変更は国防総省のシンクタンクONA(ネット評価室)で室長を務めてきたアンドリュー・マーシャルの判断がベースになり、国防次官だったポール・ウォルフォウィッツなどネオコンによって行われた。DPGに基づいて書かれたネオコン系シンクタンクPNACの『米国防の再構築』を執筆した人びとはジョージ・W・ブッシュ政権で主導権を握った。
ヨーロッパ連合軍(現在のNATO作戦連合軍)のウェズリー・クラーク元最高司令官によると、ウォルフォウィッツは1991年の時点でイラク、イラン、シリアを殲滅すると語り、2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センター、そしてワシントンDCの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されて間もなく、ドナルド・ラムズフェルド国防長官の周辺では攻撃予定国リストが作成され、そこにはイラク、イラン、シリア、リビア、レバノン、ソマリア、スーダンが載っていたという。
ウォルフォウィッツ・ドクトリンが作成された2年後、国防大学のスタッフだったマイケル・グリーンとパトリック・クローニンがカート・キャンベル国防次官補を介してジョセフ・ナイ国防次官補やエズラ・ボーゲルに働きかけ、1995年には「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」が作成されている。
その後、1997年には「日米防衛協力のための指針(新ガイドライン)」が作成され、99年には「周辺事態法」が成立、2000年にはナイとリチャード・アーミテージを中心とするグループが「米国と日本-成熟したパートナーシップに向けて」を作成、06年になるとキール・リーバーとダリル・プレスが、ロシアと中国の長距離核兵器をアメリカの先制第1撃で破壊できるとする論文をフォーリン・アフェアーズ誌(CFR/外交問題評議会が発行)で発表した。

論文掲載の翌年、ナイとアーミテージは「米日同盟:2020年までアジアをいかにして正しい方向に導くか」を発表、2012年には「米日同盟:アジア安定の固定化」を発表した。その延長線上に安倍晋三政権の暴走がある。"