当初1300億円の費用を予定しながら現状で2倍近い2520億円がかかるとされる新国立競技場。見直しを求める声が各方面から相次ぐ中、デザインコンペの審査委員長を務めた著名建築家の安藤忠雄氏が当初案をゴリ押ししていたことが暴露されました。詳細は以下から。
2020年の東京オリンピックのメインスタジアムとして建設予定の新国立競技場。世界的に有名な建築家の安藤忠雄氏がデザインコンペの審査委員長も務め、ザハ・ハディド氏の案に決定していました。
しかしデザインからの建築の困難さや3000億円を超える莫大な建設費から日本スポーツ振興センター(JSC)は大幅に規模を縮小した修正案を提示。それでも1625億円と当初の予算をオーバーしていましたが、最終的には資材高騰などにより2520億円(それ以上の可能性もあるとのこと)かかると上方修正されました。
このザハ案は特徴である2本の巨大アーチが予算オーバーの主たる原因として槇文彦氏ら建築家から批判を受けており、下村文科相は再び規模の縮小を含めた見直しを行う方針を明らかにしていましたが、6月29日にアーチをそのまま建設するとの決定がくだされています。
これによって当初の予算の2倍近い費用がかかる他、開閉式屋根の設置がオリンピック後に延期され、8万席のうち1万5千席も仮説として建設されるなど、建設前から踏んだり蹴ったりの状態となっていました。
与党内からも異論が出始めている上に読売新聞の調査では8割が計画を見直すべきだと回答するなど、ある意味「戦争法案」以上に日本人に評判の悪いこのザハ・ハディド案の競技場。
それでもこの案がそのまま建設されることが決まったのはなぜか?そこには審査委員長であった安藤忠雄氏の強い働きかけがあったことを建築家の難波和彦氏が自らのブログで明らかにしています。
まさにアーチを残しての建設が決定した6月29日のポストにあるのが以下の文章。
午後久しぶりに安藤忠雄さんから電話がある。ここ数ヶ月間に新国立競技場に関して紆余曲折があったがその間に安藤さんは文科省とJSCに対して何度も責任をもって当初案を進めるようにと主張してきたのだという。その結果がついに本決まりになったのでホッと一息ついて電話をくれたらしい。
(難波和彦+界工作舎 神宮前日記 2015年06月29日(月) より引用)
本日7月7日には日本スポーツ振興センター(JSC)が総工費の内訳から経緯までを詳細に説明するために有識者会議を開催しましたが、自らが「コンセプトが強ければ後で修正できる」と強力にプッシュした責任者である安藤忠雄氏はこれを欠席。
世界的な建築家であろうとも、巨額の税金を投入する公共事業であるプロジェクトでの自らの決定や言動についての説明責任から逃れられるわけではありません。無責任な逃亡はやめ、自ら計画の見直しを提言すべきではないでしょうか。