「山月記」

個人の記録を残しておきたい、個人を刻印して後世の心ある人に届けたいとの願いは誰にしもある
しかし、官僚組織や科学研究では、個人の刻印は限りなく薄められる。
せいぜい年月日と名前が残る程度。そして、その個人がやらなかったとしても、いずれ時期が来れば誰かがやっただろうと考えられることになる。それが官僚組織や科学研究の利点であり本質でもあるからである。
要するに個人の刻印は忘れられる。
そのことに抵抗しようとしてたとえば詩人として百年、後世に名を残し、個人の刻印を残したいと願うことは
共感も理解もしやすいが、実現可能性については、相当に困難であると思われ、
やはり非常な葛藤を生むと考えられる。
解決法は分からない。