抗不安薬 マイナートランキライザー

抗不安薬 マイナートランキライザー

ベンゾジアゼピン抗不安薬 マイナートランキライザー

製品名を挙げる。おおむね、先頭が先発薬、=で結んだあとがジェネリック薬である。
・リーゼ=エモレックス=イソクリン
・デパス=エチゾラム=メディピース
・ワイパックス=ユーパン=ロルメタゼパム
・ソラナックス=コンスタン=メデポリン=アルプラゾラム
・レキソタン=セニラン
・セルシン=ホリゾン=ジアゼパム
・セパゾン
・メンドン
・メイラックス=メデタックス=ロンラックス
代表的なものだけで以上である。他にもたくさんある。それぞれにジェネリック薬が発売されていて、調べてみないと分かりにくい。神経伝達物質であるGABAを介して作用する。作用は共通のものがあり、
  • 抗不安作用(会議のときの緊張をやわらげる)。
  • 筋弛緩作用(肩こりをほぐす)。
  • 鎮静・催眠作用(軽い眠気。これを利用して睡眠前に用いてもよい。)
  • 抗てんかん作用(ランドセン=リボトリール〔これはジェネリックではなく併売品〕が代表的)。
たとえば「デパス」の適応症には心身症が含まれ、この中には胃・十二指腸潰瘍まで含まれる。そのほかに筋収縮性頭痛、頸椎症、神経症、睡眠障害、腰痛症が列挙されている。上記四つの効果の応用である。  ほぼ同じ系統のものとして抗不安薬セディールがあり、GABA系ではなくセロトニン・ドーパミン系を介して作用する。効果は従来薬とほぼ同じという印象である。以上の中では抗不安薬ワイパックス=ユーパン、さらには睡眠導入剤の項目で紹介しているロラメット=エバミールについては代謝経路が単純なので他剤との相互作用が少なく、アルコールの影響も少ないと評価されている。
不安性障害(パニック障害、社会不安障害SAD、全般性不安障害 GAD、強迫性障害、その他)にはSSRI、SNRI、三環系抗うつ剤と並んで第一選択薬である。軽症うつ病にも第一選択薬としてよい。うつの背景にも前景にも不安があるからであり、そこをターゲットとして治療することで効果が実感できる。救われたと思うものだ。

依存性の心配

これらに共通しての多くの人の心配は依存性である。処方量を守り、生活を整えていく限り、問題はないので安心して欲しい。「睡眠薬は依存性があるが安定剤なら安心だ」という話も間違いである。どちらも処方量を守っていれば問題はない。一方、イソミタール、ブロバリン、市販のドリエルなどは依存性が心配なら控えた方がよいだろう。われわれは専門の立場で、依存性については心配ない、自然にやめられると自信を持って言えるが、なかには「わたしは信じない」と言う人もいる。しかしそれでも医者に来るのはなぜだろうか。何とか解決したくて医者を訪れるのだと思う。噂を信じているのだとしたら、エビデンスがある。漠然と不安になっているのだとしたら、これもエビデンスを信じてもらいたい。

薬剤不信の原因があるはずである。不快な体験があったのだろうか。見直していけばいい。周囲の誰かが抗不安薬にまつわり苦しんでいるのだろうか。それは別の病気の可能性はないか?その病気には別の薬が必要なのではないか?ひとつひとつ解きほぐしていきいたい。

それでも心配な人はSSRI、SNRI、三環系抗うつ剤などを使えばいい。心配ならばいくつも選択枝はある。安心してもらいたい。薬剤を少量用いて体調を整え、生活全般を整えることが大切である。薬を飲んでも現実のストレスはなくならない。支え合って乗り切ることが上策である。