児童思春期

児童思春期

ADD,ADHD

ADD、ADHDはそれぞれ注意欠陥障害、注意欠陥多動性障害を指します。学校での不適応が問題となることが多く、学校の担任の先生や学校カウンセラーから医療に紹介があります。お薬もある程度は効くのですが、我慢強く成長を待つことも大切です。教育と医療の連携が必要とされる分野です。
 最近はチェックリストなどで自分でADD・ADHDと診断して来院される方が増えてきました。3割くらいはADD(ADHD)で、残りはほかの障害が考えられるとの意見もあります。ADDは人口の3-9%(診断基準の幅によります)という大変多い障害です。成人になると多動性が少なくなって、「落ち着きが出てくる」ようになりますが、注意障害は持続します。家庭や職場で支障が出ます。
 ADDの治療では薬物療法は下支えに過ぎません。積極的にこの障害を学び、さまざまな工夫をする必要があります。カウンセラーをコーチとして歩んでゆきましょう。

言葉の発達の遅れ

・原因……言葉の発達の遅れにはいろいろな原因があるので、まず原因を正しく把握することが第一です。難聴のように身体的な原因もあります。また、言葉を聞いて意味が分かるのにもかかわらず、自分で言葉を言うのは不自由な子もいます。この場合はある種のつまずきなので、「マカトン法」という特別な指導法が有効です。
・治療……お母さんに指導方法を覚えていただき、家で反復して練習します。

不登校

・診断……診断という固い言葉ではなく、「楽な気持ちで素直に言える」雰囲気がまず大切です。その中から問題点を知ることができれば一歩前進です。原因としては学習困難、対人関係の困難、いじめなどが多いようです。睡眠リズム障害、朝の低血圧、子供の不安性障害など、生活指導と少量の薬物が有効な状態の場合もあります。
・治療……過去よりも未来に焦点を当てて話し合います。必要に応じて具体的な行動の指導をします。また、多くはありませんが、漢方薬を含めたお薬をおすすめする場合もあります。家庭内暴力でお困りの方、また、親子関係の修復でお困りの方は、相談数も大変多く、方針決定も簡単ではありませんが、まずお母さんをはじめご家族を支えることを目標として相談をスタートする場合もあります。不登校も長くなると子供さんの問題だけではなく、家族全体のあり方の問題になっていることもあります。問題を局所的にとらえずに、全体的に、長期的な目でとらえましょう。家族相談を積極的に利用しましょう。

学習障害(LD)

・診断……現時点での能力測定をしてみると、全般的には能力が低くないのに、ある特定の分野だけで発達の遅れがみられることがあります。学習障害のお子さんではこのパターンが多くみられます。発達測定テストを用い、同時に課題遂行時の様子を観察して、遅れのある分野はどこなのかを正確に見極めることがスタートになります。
・治療……個別集中指導で対処します。たとえば、まずはじめに数の概念をしっかり覚えていただけば、その後の算数の学習はとても楽になります。必要に応じて少量の薬剤が有効です。

薬について

子供さんや若い人には薬はなるべく使わないようにしましょう。これが原則です。発達途中であることを念頭に置いて、長い目で見守りましょう。しかし場合によっては少量の薬を短期間使うことが、効果的な場合があります。変化のきっかけを作ることができるわけです。この点については、当院の専門家のアドバイスを理解していただいた上で、最終的にはお子さんとご家族が決定するということになります。
どのお子さんも、自分は他人にとっていい子でありたいし、特に親の希望に沿う子でありたいものです。しかしそれができず、どんどん自信をなくしていきます。クラスの厄介者扱いされたりして自信をなくしてしまうこともあります。こんな場合に、少量の薬剤で少し落ち着きのある子になれば、それからあとは自信を回復できるのです。人間は自信のあるなしでこんなにも違うものかと思います。自信あるいは自尊心といってもいいでしょう。大切にしましょう。

教育との連携を大切に

子供さんはまずなによりも教育の場で生活しています。学校の先生や教育センターのカウンセラーの先生と連携協力して治療にあたります。教育者にしかできないことがたくさんあります。