なぜ漢方か

なぜ漢方か

漢方薬という言葉が定着しているのでここでも漢方薬と表記します。しかしわたしたち SMapG は和漢薬と呼んだ方がいいと考えています。日本人に合ったものを工夫してきた歴史があるからです。ストレス診療では漢方薬を積極的に使います。理由としては二つあります。
まず、体調を整えるには漢方治療が適しているということがあげられます。うつ、パニック、自律神経失調症、更年期障害、不定愁訴、不安などではたいてい背景に過労や心労があるものです。老年期記憶障害、登校拒否などでも用いることがあります。
ふたつめの理由としては、患者さんの要望が強いことがあげられます。これまで漢方薬を使っていて、体に合うから続けたいと考えている人がたくさんいらっしゃいます。この信頼感はとても大切なことですから、その漢方薬をベースにして、発展的に薬剤を工夫します。
西洋薬の場合には「薬にまかせた」という気分になるのに対して、漢方薬の場合には、「薬を飲みながら、症状と対話しつつ、毎日を暮らす」、そんな気分になることができるようです。
においや味については、最近の処方薬局用顆粒製剤はとてものみやすくできているので、たいていの人に違和感なく服用していただけると思います。

 

漢方薬の選択

一般の漢方診断の本を開いてみると、症状と体質を診て、処方すると説明しています。わたしたちは「性格」も診断の軸に加えることを提案します。心理面も考慮しなければならない領域では、性格の把握が特に大切です。
症状はストレスに対する反応という側面があり、誰にでも起こりうることです。症状は、「困ったもの」ではありますが、身体が発信しているメッセージでもあります。そのメッセージは何を伝えようとしているのか、理解することが大切です。たいていは無理をしているのです。そこで症状診断と体質診断に性格診断とストレス診断を加味して処方するのが合理的でしょう。
「ストレス + 体質 + 性格」 この三者のかかわりを考慮して診断して処方します。

有毒物の除去

生薬の原材料は自然産物ですから、細菌などの有毒物の混入をどのように防ぐかについても重大な注意が払われています。生薬そのままの場合にはその点を一つ一つについて厳密に確認することはできません。この点では、生薬よりも、顆粒製剤に利点があると考えられます。

生薬の効きめのばらつき

煎じて飲むタイプの生薬では、有効成分のばらつきが避けられません。野菜を食べるときに、いい野菜とそうでもない野菜とのばらつきがあることは当然で、漢方薬の成分についても同じことが言えます。こうしたばらつきは自然産物の場合には避けられないものですが、製薬会社ではうまく品質管理をして、有効成分が一定になるように工夫しています。また、会社によって品質管理の精度にばらつきがあるともいわれています。さらに、一般売薬と処方薬局製剤では、効果に差があるとのご感想もよく耳にします。

漢方薬の安全性

以前、漢方薬の副作用が話題になりました。小柴胡湯で肺に副作用が出て、死亡する場合があるとの報道でした。その他にも、いくつかの成分について、過量となったときの危険について注意するよう呼びかけられています。このあたりは疾患、体質、既往歴を考慮しての医学的診断になります。

飲み方

コップ一杯の水で飲んで下さい。のどや舌に残っていやな感じがする場合には、あらかじめぬるめのお湯に溶かしても結構です。
 食前、食間(つまり午前10時とか午後3時とかの空腹時)が原則といわれます。確かにそうなのですが、特にこだわる必要はないようです。夕食後でも、就寝前でも問題はありません。自分の生活にあった時間を決めて、気長に使って下さい。
 飲み忘れたら、そのまま忘れて下さい。気にしないで次の時間に決められた通りに飲んで下さい。

漢方薬にジェネリック薬はありますか?市販薬も同じ名前ですが、内容も同じですか?

原料として生薬を用いていますので、化学物質として同一のものはできません。ジェネリック薬にはなりません。たとえば補中益気湯などは同じ名前でもメーカーによって内容成分が異なります。まったく違う薬ではありませんし、効果の傾向としては同じなのですが、微妙に違います。
 市販薬と健康保険を使って医者が処方する漢方薬は同一メーカーでもすこし内容が違います。バファリンが市販薬と処方薬で内容が異なるのと似ています。