神秘体験

専門的な分類は知らないが、幻覚という体験には、大きく4種類あるというのが私の経験則である。簡単に説明しておきたい。
第一、錯覚の延長としての幻覚。
 これは、徹夜を続けた経験があれば理解できるかもしれない。たとえば遠くのゴミ袋が人間に見えたり、家具が変な動物に見えたりすることがあるが、そういう種類の幻覚を「錯覚の延長」としての幻覚とする。「凄く異常な見間違い」とも表現できる。
第二、無関係な映像が出てくるもの
 これが「幻覚」というときの代表的なイメージではないだろうか。見た目上は実在の人物と区別がつかないほどしっかりした人間が出てくるといった幻覚だ。もっとも、私は、この手の幻覚で、そこまで鮮明かつ創造的でしっかりとした幻覚としての何かを見たしたことはない。
第三、感覚が普段とは異なった仕方で知覚されるなど異様な体感。
 幻覚という分類で良いのか疑問はあるが、ありがちなのは、共感覚的な幻覚体験で、音楽に色がついて見えるという現象。リズムに合わせて青の色がバウンドするなど、視覚と聴覚の合体したような体感で、説明が難しい。
その他、何も具体性が無いのに「全てを知った」かのような、真理を悟ったと確信してしまう感覚体験もある。身体イメージがバグってしまい、体がずれている感覚などもある。至福の多幸感に全身が包まれる体験なども含めて良いのかもしれない。
第四、意識が丸ごとトリップするもの。
 これは、まさしく「トリップ」するもので、近い感覚としては、夢を見ているとき、完全に別世界にいるわけだが、それと似た意味で、意識が別世界に丸ごといってしまうという体験である。宇宙を漂っていたり、対外離脱して街の上空を飛んでいたり、きらきらした世界のなかにいたりするなど多様である。
しばしば、こうした対外離脱体験の感覚を経験したものが、自分は本当に対外離脱して街を上空から観ていたと主張するのだが、そうした行動でしか得られない情報を得ていたという信頼できる事例はなく、脳内体験と判断すべきだと思う。
神秘体験は、幻覚体験のなかでも第四の「トリップ」のなかで生じる第三の「未知の体感」に相当する。